恋愛LEVEL−2−
窓の外に目を向けると、ニカッと笑う子がこっちを見て手を振っていた。
…あ。あのタメ口くん…
あたしは軽く手を振って、仕方なく前を向いた。
「…じゃぁ、今日はこれで終わり。三年生は明日、明後日と実力テストがあるから勉強しておくように!」
「「「え〜っ?!いきなりテスト?!」」」
クラス中のさっきまでのハイテンションが一気にダウンする。
「山瀬も今日は彼氏に会わずに真っ直ぐ帰って勉強しろよ?」
先生があたしを名指しして言った。
「はい…」
…真っ直ぐ帰っても家には彼氏くんがいるんですけど…?
心の中で呟いてみた。
事情を知るユリだけがあたしを見て笑いを堪えていた。
校舎を出て、今日夕飯なにしよう…なんて考えていると、目の前にさっきのタメ口くんが現れた。
「三年生だったんだ?」
「そうだけど?」
…三年生ってわかってもタメ口なのか。
あたしはそのままタメ口の横を通り過ぎようとする。
「ねぇ、今から帰るだけ?」
…あたしに言ってるのかな…
チラっとタメ口くんを見ると、どうやらやっぱりあたしに言ってるみたいで。
「帰るだけだよ?明日テストだし…」
「今から昼飯行かない?」
「行かない」
即答。
「ねぇ×2!行こうよ!」
タメ口くんはあたしの腕を掴んでブラブラさせる。
…その辺のナンパよりタチ悪い…
「…お勉強しなくちゃいけないから無理!!」
「いいじゃん♪少しくらい♪」
「あのねぇ…」
「コラ!一年!!千秋に近付くな!!俺が中嶋先輩に怒られるだろ!!」
卒業式で奏にあたしの監視役に任命された太一が、あたしの前に現れた。
「そうだよ?千秋には近付いちゃダメなの♪」
ユリも笑って言う。
「え〜っ?!なんで?!」
あたしたちはタメ口をそのまま放置して駅に向かった。
「なんかめんどくさい子だね…」
「…うん」