恋愛LEVEL−2−

夕葵と涼太くんはまだ店に残るということで、

あたしは瑛太くんと店をでた。



ファミレスから駅までは歩いて10分ほど。

繁華街にあるファミレスだったから、駅に行くまでに居酒屋やバーがあって、あちこちに酔った人が多かった。


「一緒について来て正確だったよ…千秋ちゃん一人でこんな所歩かせてたら危なかったな…」


「う、うん。ありがとね…瑛太くん。」



ふと前を見ると、チェーン店の居酒屋前の暗がりで座り込んでいる女の人が見えた。


その人にミネラルウォーターを飲ませている男の人の姿も目に入る。


暗がりとはいえ、ネオンがあちこちにあるからシルエットははっきり見える。


女の人はその男の人に寄り掛かり、首に腕をまわして、甘えるような仕草を見せる。



「ありゃぁ、完全にお持ち帰りだな…」

瑛太くんがフッと苦笑して言った。



その瞬間、女の人は男の人にキスをした。



あたしは、パッと視線を外して、横を通り過ぎる。



その時…



「奏く〜ん♪あたし、どっかで休みたぁぁぁい♪」


女の人が猫撫で声でそう発した。




あたしは、その女の人の方に振り返る。


「…奏?!」


「千秋ちゃん?」
瑛太くんはあたしを不思議そうに見た。




「ち、千秋?!」

男の人はバッと女の人を引き離す。


間違いなく、その男の人はあたしの名前を呼んだ…



「…っち、違うんだ!!この人…先輩が酔っちゃって…だから介抱してて…」


「奏く〜ん、誰?この人」


女の人はまた奏の首に腕をまわそうとする。


奏はその腕を払いのけて言った。

「俺の彼女です…」


「うわぁ♪ヤバイとこ見られちゃった?ごめんね♪
聞いて×2♪奏くんったら、さっきあたしの胸ばっか見ちゃって♪硬くなっちゃったりしてたのよぉ?若いわね〜」



「先輩っ!それ俺じゃないですって!!」




あたしは、頭が真っ白だった。


< 55 / 78 >

この作品をシェア

pagetop