恋愛LEVEL−2−
いつ駅に着いたのか、どこの駅で降りたのか、どうやってここまで来たのか…
記憶がない。
気が付いたら、初めて来た部屋のリビングで座っていた。
「…なんか飲む?」
あたしは頭を横に振る。
「シャワー使ってね」
瑛太くんはTシャツとスウェットのズボンを手渡してくれた。
「ありがとう…」
あたしはゆっくりバスルームへ向かった。
熱めのシャワーを浴びながら、さっきの光景がフラッシュバックする。
胸の奥から何かが込み上げくる。
奥歯を噛み締めて、それに抑えようとしても無駄で。
奥歯にすら力が入らない。
涙すら出ない。
−−−−−−−
「シャワーありがとう」
「あ、うん。」
瑛太くんが心配そうにあたしを見ている。
瑛太くんなら…抱きしめてくれるんじゃ…なんて考えが過ぎる。
でも、瑛太くんはあたしと一定の距離をおく。
「…彼氏…連絡しなくていいの?」
「……」
「…まぁ…酒癖悪い女だったし。彼氏にその気はなかったんじゃないかな。」
「……」
瑛太くんはあたしの前で奏を責めるような事は言わなかった。
「今日はもう遅いから、ベッドで寝てなよ。
あ…心配しないで。俺はソファーで寝るから。」
「…そんな…あたしがソファーで寝るから!」
瑛太くんはフッと笑って言う。
「お気に入りの女の子には優しいの、俺。じゃぁ、おやすみ。」
あたしは、俯くしかできなかった。
寝室のベッドの隅に遠慮がちに横になる。
頭は意外と冷静なのに、興奮しているのかなかなか寝付けない。
携帯を開いて、奏からしかない着信履歴を見る。
[どこにいる?]
[待ってるから。]
着信の合間のMailの嵐。
こんなに必死になるなら、なんであんな事…
あたしは携帯を握りしめながらそのまま眠りについた。