薬指に光るモノ
定時になり、あちらこちらから『お疲れ様です。』という声が聞こえてきていた。
「もーもかちゃんっ」
「うひゃあ!」
いきなり誰かに後ろから抱き着かれた。
「……美月さん。」
振り向くと、先輩の矢野美月さんがいた。
「ふふ。ビックリした?」
美月さんが可愛らしい顔で笑う。
美月さんは、あたし…瀬名桃花の2年先輩の人。
ばりばり仕事が出来て、美人で優しくてあたしの憧れの人だ。
「どうかしたんですか?」
「ん?今日は桃花ちゃんを飲みに誘おうと思って♪」
「わ、本当ですか?」