薬指に光るモノ



「…桃花ちゃん、」



今日の分の仕事が終わり、そろそろ帰ろうと支度をしていたときに、美月さんに呼び止められた。




「美月さん…」



「よかったら今日、飲みに行かない?」



相変わらずの綺麗な笑顔で、そう言ってくれた。




「でも…」



「あ。今日はね、あたしと桃花ちゃんの二人で!」



「二人で?」



「そう。今日はあいつのことは放っておいて、二人で楽しもうよ。」



ちらりと谷口さんの方を見て、にたりと笑う美月さん。




「…はい、行きましょう!」



気を遣わせてしまってるんだなって、思った。



ずっとあたしが落ち込んでるから、心配させちゃってるんだ。




…いつまでも、迷惑かけてるわけには、いかない。



美月さんに、話してみようかな。



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