薬指に光るモノ
「美月さん…?」
「あのね。ちょっとだけ、あたしのこと話してもいいかな?」
そう笑った美月さんの笑顔は、どこか儚げで、哀しげで、寂しそうだった。
「…あたしもね、桃花ちゃんと似たような感じだったの。」
話し出した美月さんの声はいつもと違って、消え入りそうなか細い声で。
こんな美月さんは、今までに見たことがなかった。
「中学の時からずっと、『好き』ってどういうことなのかなって思ってた。あたしの周りの人は、みんな簡単に『好き』って言葉を使ってて、だけどあたしはその気持ちがわからなかった。」
そこまで聞いて、あぁ、昔の美月さんは、今のあたしと同じなんだって思った。
『好き』の気持ちが、わからない。