虎と真珠
硝也と桃乃を残し
入学式が直に始まる体育館の裏口から入る二人
乙臣「あのさ…シン」
真「ん?」
乙臣「屋上で寝てた時、なんの夢見てた?うなされてたからなお前」
シン「わかんね。いつも同じ夢で顔がぼやけてるし、思い出せないんだよ」
乙臣「…またあの夢だったわけねぇ」
何度も見る。
暖かい場所で寝ると
小さい時会った
『あの人』の夢を
俺は知っている
真は、『あの人』の顔を思い出したくて
屋上の陽射しがいい場所で寝るのを
嬉しいような
悲しいような
複雑な寝顔
夢が覚めないよう祈るような表情
『だだいまより、第62回竜宮高校入学式を行います。新入生入場』
真「お、ギリギリセーフ」
乙臣「…全く、運がいいよなお前」