秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「そうだな…あえて理由をつけるならば」
「…?」
どーんっと胸を張って父様が言った次の台詞はこうだった。
「私の娘に手を出したバツだいっ」
「……」
「……」
『だいっ』ってあんた。
いい歳したおっさんがなに言ってんのよ。
「…お言葉ですが……まだ手は出してないんですけど」
「同じことだいっ。……え!? 出してないの!?」
わ、二度見した。
かっくんのこと、二度見した。
「そっ……それじゃあその…えーと……。ま、まあ似たようなもんだっじゃあな!」
「あっ! 逃げた…」
途端に慌てだしたかと思うと、父様は逃げるように飛び出していった。
「……」
「……」
あたし達に残されたのは、呆然と沈黙だった。
「…えー……その…」
と、とりあえず…!
「ご、ごめんなさい」
ほんっと、思いっきり巻き込まれてるだけだよね…かっくん。
ああ…なんであたしの父様はあの人なんだろう…ハア。