秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
―――……
『と、いうわけで。ちょっと遅れてしまいましたが、もう一人日本から素晴らしい生徒が入ってくれました』
朝会みたいなときに、かっくんがそう紹介された。
クラス中の女の子達の目は完全に逝っていた。
ちょっとむっとしたあたしは、特別に与えてもらった隣の席という武器を活かし、妙に距離が近いために届く腕に自分の腕を絡めた。
ぴとっとくっついて、ハートの目で見てる女の子達をちろっと睨んでみたり。
『理事長からの直々のスカウトでいらしてくれた星野楓くんですよ。みなさん、くれぐれも好きになってはいけませんよかっこいいけど』
『そういえば、あなた達婚約してるそうね!』
『あの衝撃の発表、去年だったよなー』
『実物見るとショック受けると思ってたけど、お似合いすぎて文句言えないわ~』
???
ま、前に言いましたけど…あたし、早口じゃ分かんないんだったら。
かっくんに教わってるくらいなんだお!?
「なんて言ってるの?」
「お前が気にするようなことじゃねーよ」
「ふーん…」
かっくんがそう言うなら…いいけど。
深く考えずに納得し、絡めていた腕を離した。
同時に、前に座ってるメイリーがくるっと振り返る。
『ね、やっぱり人気ねあなたの彼。…見てよこれ。ここらじゃ有名な一流雑誌だけど、もう載ってるわよ』
『え?』
雑誌?
首を傾げながら、差し出されたそれに目を落とした。