秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
別にどこがどうとかいうのはぶっちゃけどうでもよくて。
要は、俺でなく真裕。
さすがに、恋愛感情と友情の区別がついているらしいことは分かった。
初めこそ疑ったものの、そこまで馬鹿ではなかった。
かといって。
…かといって、それとこれとは別な話に思う。
「ほんっとーに、結婚していいと思ってんの?」
「え?」
俺は実ははなからそのくらいのつもりだったりする。
去年ようやく真裕を見つけたとき決めていた。
やっとつかんだこの手を、もう二度とは離すまいと。
ただまあ…さすがにこうとんとん拍子…というかあっという間というか。
こんな形になるとは思ってもなかったけど。
「あの…そ、それこっちの台詞…」
恐る恐るといった様子で、真裕が口を開いた。
「だって…あたしと結婚するってことは、次期社長だよ? 世界を動かす権力を持つんだよ? 当主でなくても藤峰家に正式に入れば、もうそれくらいのえらぁーい人にな…」
「そうじゃない」
「…え?」
……あの親父さんのことだ。
ああ言ったからにはおそらく本当だろう。届けはもう出されている。
そして前に言っていた通り、今頃嬉々として結婚式かなんかの準備でもしてるはずだ。
そうなれば……もうどうしようもなくなる。
「確かに、そういう問題もある。でもその前に…」
その前に……分かっているのか?
「…まず、俺とお前が夫婦になるんだぞ」
「……!」