秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
―そしてさらに数時間後。
機内電話が鳴って、野木さんが言った。
『もうすぐ着陸いたします。車が待っていますので、お先に向かってくださいね』
「あ…ありがとう」
もうすぐ着く。
そう聞いた途端、急に心臓が早まり出した。
いやだ。行きたくない。
でも…会いたい。
でも怖い。怖い。怖い…!
「!」
かっくん…。
手に温もりを感じて、弾かれたように頭を上げると、かっくんがあたしの右手を握っていた。
『大丈夫だ。俺がいる』
強い瞳は、そう言ってくれてるように感じた。
―ビーッ
『お嬢様、さあ早く。着きましたよ!』
「…!」
びくっと思わず肩を揺らした。
縛り付けられたように体が動かなかったけれど、震えそうな体を抑えてなんとか飛行機を降りた。
「真裕お嬢様」
「お兄ちゃん…」
「わたくしで申し訳ありませんが、お乗りください。三十分ほどで病院に着きます」
病院…。
やっぱり…お母さんは…。
「真裕」
「う、ん…」