秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
着いた病院。
薬品の匂いや独特の雰囲気。
そうじゃなくても嫌いなここに入るのには、ものすごい抵抗があった。
「真裕」
「……」
かっくんに促されて、そろっと足を踏み入れる。
受付に行くと、お姉さんがあたしに声をかけた。
「藤峰様…ですか?」
「は、はい」
「聞いております。あちらにございます。どうぞ、お急ぎください…」
「……」
そのお姉さんの表情、口調。
当然あまりいいものではなかったけど、抑場のない無難な感じにも見えた。
とにかく急ごう。
お母さんは……あたしを待っててくれてたんだから。
言われた方に走っていくと、扉とその前に立つ人影が見えた。
「藤峰様! 藤峰真裕様ですね?」
「えっ……あ、はい…」
白衣を着た男の人だ。
病院の先生かな?
そしてその人の口から出た一言は。
「藤峰様は……真琴さんは、この部屋です。……ですが」
…あたしの、今にも崩れそうな心を。
「……一足……遅かった…です…」
……残忍に、引き裂いた。