秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

こみ上げる、言い知れぬ恐怖心をごまかすように、叫びながら座り込むあたし。

半ば崩れるように倒れ込んだためか、かっくんが慌てて受け止めた。


「だって…だって…! 嘘よ!! 嘘!!」


半狂乱になってひたすら叫ぶ。

そんなあたしに、先生は静かに言った。


「…お会いしてあげてください。真琴さんはずっと……貴女様のことだけを心配なされておいででした」


「……!!」


「最期まで、思い続けたのは貴女様のことです。せめて…」


―バンッ!


…言い切るのを待たずに、勢いよく扉を開けた。

中にはたった一つ、ベッドが置かれている。

そして……その脇に立つ数人の看護師らしき女の人達。


「……」


もう、ほとんど意識はなかった。

まるで自分の体が自分のものじゃないように、意思に反して動く。

近付きたくない。

なのに…体が勝手にベッドのほうへと寄って行く。


いつの間にか、これでもかというほどに爪を肌に喰いこませていた。


「…真琴さん……お嬢さんですよ…? ずっと会いたがっておられましたね…。見せていただいたお写真より、やはりだいぶ…成長なされておいでです」


「……」


看護師の一人が、涙ぐみながら呟いた。






「お母…さん……」




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