秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
―――……
「真裕様…」
…あれからどれくらい経っただろう。
ずっと伏せってそばを離れないあたしに、先生が声をかけた。
「冷たくなってるよ…? なんで? ねえなんで? ねえ!!」
「真裕…!」
「離してよ! どうして? なんで起きてくれないの? なんで冷たくなってるの!?」
「真裕…」
泣き叫んで暴れるあたしを抑え込むかっくんは、ぐっと眉を寄せてあたしを抱きしめた。
「いやだ! 離して!!」
あたしに会いたいって…会いたいって!
そう言ってたんでしょう?
やっと会えたの。会いに来れたのよ?
なのになんで!!
「どうかお聞きください。真裕様…」
「嫌よ! どうして? どうして助けてくれなかったの!! あたしの母様返して!」
…分かってる。
この人はきっと何も悪くはない。
分かってるのに…止まらない。
一瞬間に合わなかった自分が恨めしくて。
もっと急げば…。そう思うと胸が引きちぎれそうで。
ううん、もしかすると六年前…あたしがしっかりしていれば、なにか変わっていたかもしれない。
この、今の現実がどうしても信じられず、誰かを、なにかを憎まないと狂ってしまいそうだった。
…大好きだった。
誰より大好きな母だった。
それを失う日が来るなんて……まったく、想像もしなかった。