秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
六年前の真相・母の愛
――六年前。
「真琴ー? お前なにやってるんだ? 真裕のコンクール、見に行くんじゃなかったのか」
「ん…。そうなんだけどぉ。服が決まらないのよ。どれがいいかしら?」
「そんなもんどうだっていいんじゃ…」
「よくないわよ! できるだけ若く可愛く見られたいじゃない」
「ふっ…。心配するな。お前は黙っていれば、若くて可愛いお姉ちゃんに見える」
「黙ってればってなによ。あなたこそ、口を開けばただの変態親父だわ」
「なにを! 旦那になんて口のききようだっ」
「はいはい…」
もう…。どうしよう。
ドレスがいいかしら…それとも着物?
スーツなんてどうかしら。
それとも……。
「…!」
…あ…ら…?
なに、今の…。
一瞬、めまいがしたような…?
「?」
しきりに首を傾げながらも特に気にせず、ずらっと並べた洋服達とまたもにらめっこ。
今日は真裕の晴れ舞台だもの。
しっかりお洒落して見に行かなくちゃ!
気分は最高潮。
スキップでもしたいくらいだった。