秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
―――……
『…あさま……母様あのね? これに出ることになったんだよ!』
『まあ! すごいじゃないまお! さすがね、さすが私の娘っ』
『えへへーっ。頑張るね。まお頑張るね』
―頑張るね…――
「真裕!」
…っ……は……あっ…。
ゆ、夢…。
「うっ……ごほっごほっ…はあ…」
「奥様っ…大丈夫ですか!?」
突如飛び起きて咳き込む私に、付添いの医師が慌てて駆けよった。
あれから半年。
治療に専念するためにアメリカに渡った私は、真裕や夫と連絡を取らずにひたすら抗がん剤の投与を続けていた。
少しの間…耐えれば。
きっとうちに帰って、あの子を抱きしめるの。
許してくれないかもしれないけど、それでも抱きしめたい。
その一心で、副作用にも耐え続けた。
けれど。
病状は一向に良くなる様子を見せない。
それどころか……なぜだろう。
なんだか、日に日に悪くなっているように感じる。
気のせい…なのかしら…?
―コンコン
「はい?」
ベッドに座り、考え込んでいた時。
病室の戸が叩かれた。