秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
ただただ呆然とするしかなかった。
でもそんな中でもなぜか、冷静な私がいた。
「では……あと、どれくらい生きられるんでしょう…?」
「奥様…!」
一点を見据えながら、静かにそう聞く。
「……誠に申しあげにくいのですが。…私どもの見解ですと…なにもしなければ一年」
一年…!!
「このまま治療を続けましても、完治の見込みはございません。もって数年…といったところでしょうか…」
完治の見込みはない。
もって……数年…。
「……そうですか」
ふ…と息を吐き、呟いた。
「奥様…」
数年。
今…真裕は十一。ううん、十二になる頃だわ。
あの子が十九になるまで生きていられるかしら?
私が藤峰家に嫁いだ歳。十九…。
そうなったら私、どうしても渡したいものがあった。
どうしても言いたいことがあった。
それまで……あと七年。
なんとしても生きたい。
それ以上は望まないから…だから、あと七年。
どうしても、どうしても…!
「奥様…」
いつの間にか病院の者達はいなくなっていて、私は知らず知らずのうちに涙を流していた。