秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
そう…か…。
夢じゃないんだ…。
母様、死んじゃったんだ…。
あたしを残して…父様を残して。
こんなに早く……逝っちゃったんだ…。
会いた…かったな…。
一言でいいから、言葉を交わしたかった。
…ううん。今も。
今も会いたい。会って話がしたい。抱きしめてほしい。
父様だって……会いたかった…は、ず……。
「父…様は…?」
「え?」
父様は…。
「知ってるの? 父様は…!」
「俺からは連絡してない。でもたぶん…」
たぶん知ってる……か…。
大丈夫…かな。
父様は母様のこと本当に愛していたし、すごく大事にしてた。
あんなだけど、いなくなったときも半年くらいずっと落ち込んでたのも知ってる。
病気かもしれないと知ったときも、一人で数日悩みこんで寝てなかったのも知ってる。
大丈夫…かな…?
そう思いだすと、急に父様が心配でならなくなった。
どうしよう…。今一人でパリにいるのかな?
それとももう…こっちに向かってるんだろうか。
「さ、まおちゃん。手出して」
「え…」
「それ。ちゃんと消毒しないと」
あ…。痛くなってきた…。