秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

じろじろとかっくんを睨んでいたら、りんりんが今度はあたしを凝視してそう言った。


「そう?」


自分で見たところで分かるわけはないけれど、思わず自分の体を見下ろした。


「なんか……悟りが開けたみたいな顔」


「どんな顔」


すかさず突っ込んだあたし、実はまだあんまり明るい気分じゃない。


あれから二、三週間は経っただろうか。


翌日にやってきた父様と、あたしとかっくんと。

それからあたし達の代わりにずっと母様のそばにいて支え続けてくれた専属の医師。

そして一緒に闘ってくれた病院の一部の先生や看護師さん。

ほんの数人で、小さな小さな葬儀をした。

そのときも、あふれる涙をこらえることができなくて。

本当にもうこれで最後なんだと思うと、会えないんだと思うと、今にも叫びたかった。


そして今、母様はパリに戻った。

父様と一緒に……パリに。

四十九日が終わったら、今度こそ母様は永遠に眠るんだ。

藤峰家の墓に……入る。


それまでは、父様と二人でいさせてあげようと思った。

あたしはあたたかい母様に会えたから。

最後の最後は……父様と…。


「真緒?」


「えっ…」


「どうしたの考え込んで…。…大丈夫?」


「う、うん。大丈夫。なんでもない」


「そう…」


…このことを知ってるのは、葬儀に出た人以外ではりんりん達だけ。

きっとすごく心配してくれてるんだと思う。

だからこうして…。


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