秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「体はどう? 調子悪いとことかない?」
「ううん。どこもなんともない」
「そう! じゃあお買い物に行かない? 私ね、娘と服を買いに行くのが夢だったの」
お買いもの…。
「だけど生まれたのは息子で、そのあとも女の子どころか子どもが出来なくてー。しかもこれこんなでしょ? だから絶対彼女やお嫁さんなんてできないと思ってたのよ」
「…どういう意味だ」
いや、うん。
それは分かるかも。
このとっつきにくさ、天下一品。
実際はモテるんだけど、モテなさそう。
「私が言うのもなんだけど、顔はよくても性格がねぇ…。ひねくれてるっていうかなんていうか…」
「そおですよね…。もっと素直に感情を表現してくれたたらいいのに…」
「あら、まおちゃんもそう思う? そうなのよねー、恥ずかしいんだかなんなんだか知らないけど、感情表現がド下手よね」
わーっ。やっぱりそうなんだ!
ママが言うんだから間違いないっ。
「おい…」
「でも最近分かるようになってきたんだよママ! 怒ってるときとか不機嫌なときとか照れてるときとか❤」
「まあっ。素敵ね素敵ね! やっぱりなんだかんだで、母親よりかは妻のほうが近いのかしらねー」
つ、妻…。
やっぱり忘れがちだけど、そうなんだよね…。
…ってこれ何回思ったことか。
「ハア…」
「ん?」
あれ…。どうしたのかっくんたら。