秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
…てなわけで、やって参りました“夢の世界”。
いつか連れてこられたレッスン室だ。
一体…何が始まるというんでしょう。
『マヒロ今日はバイオリン持ってきたんだね』
『うん。かっくんが持ってけって言ってくれたの』
『そういえば結婚したんだってね。おめでとお』
『うん。そうらしいね』
なんだ。ケインとは連絡取り合ってるんだ父様。
『なにそのさらっと感。そういうテンションでする会話?』
しかし…。
あたし今、超絶不調なんだけど。
今までの比じゃないくらい残念な感じだよあたしの演奏。
かっくんがいてくれたらなんとかできるけど…。
『あの…ケイン?』
『なんだね?』
『まおバイオリンできないよ?』
『……』
『……』
『…ほわい?』
ほわいって。
だから日本語! ネイティブじゃないったらさ。
『だからー、今ちょっと絶賛落ち込み中で…』
『そんなことはない!! 君の実力は君自身より私が分かっている。やろうと思えばできるはずさ』
でも…だって。
五年もあたし、できなかったんだよ?
それがかっくんのおかげでできるようになって…でも今はあの五年と同じ状態で…。