秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

『確かにマヒロは…自分の心の状態とバイオリンがシンクロする節があるようだがね? でも今まで“藤峰真裕”としてやってきていたあの頃、一度も落ち込んだりしたことがなかったのか? そうじゃないだろう』


『うん』


でも…スランプにはならなかったかも。そおいえば。

あたしってほら、楽観的でお気楽で楽観的だからさ。

…失礼な。


『自分で言っただろ今…』


『“要は気の持ちよう”ってやつさ。まあその解消方法がカエデっていうだけなんだよね、うん。ほんじゃ、彼も呼んじゃおう』


「は?」


…は? え?

今なんつったこの人。


『彼も呼んじゃおう』…?


『カエデを呼ぶの?』


『ああ。よく考えたらなんで今まで呼ばなかったんだろ私。彼だってマヒロに負けないくらいの天才なのに』


『わ~っ。やったねマヒロ!』


きゃっきゃとはしゃぐのはハディだけ。

他はみーんなぽかんとしていた。


『六人で! 新生ケイン組として本格始動だーっ』


ケイン組て。

なんかやだなその名前。

かっくんが来てくれるのはこの上なく嬉しいけど。

なんかやだなその名前。


『てわけでマヒロ、カエデを呼びなさい』


『はーい』


…うふっ。

一緒にバイオリンできるんだ!


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