秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

…と、それから二十分ほど。

あたしが電話して「なんとかってゆーでっかいビルの二階くらいのところにあるレッスン室に来て❤」って呼んだかっくんが現れた。


「きゃーっかっくん!」


人目もはばからず(いつものことだけど)思い切り飛びつくあたし。

かっくんはそんなあたしを受け止めて、不思議そうに問う。


「なんで?」


「だってケインが呼べって言ったの」


『ていうか…あの説明でこの場所が分かったことがすごい』


『ふっ…。分かってないなシュンは。これぞ愛の力!!』


『アッシュうざーい』


『だからおめーらなんで俺にそんなにつめてぇの!?』


いや…実際暑苦しいよそれ、うん。

仕方ないんじゃないかな。


のほほんと納得して頷きながらも、相変わらずすりすりかっくんの胸元にすり寄るあたしだった。


『おお、カエデ! 来てくれたのかーいやいやよかったよかった。……って楽器はァァ!? おいおいおい楽器はァ!?』


『はあ?』


…だってさ、呼べってゆったから。

呼んだだけなんだ。

まお悪くないよ。楽器持ってきてって言わなかったからってまお悪くないもん!!


『ごめんなさい』


……うううっ。

だってだってぇ…。


「なに…結局なんの用?」


「ケインが用」


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