秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「バイオリンがなくなってたぁ?」
ぐすんぐすんいいながらぺらぺらと話した真裕は、こくこくこくっと頷いた。
「いや…ちょっと待てよ。だからってなんで俺に…」
「だってユウキが嫌がらせ…?」
「なワケないだろ…」
「…………あれ、違うの?」
「ハア…」
…お前けろっとなにぬかしてんだよ。
早とちりもいいとこだなおい。
「じ…じゃあなんでないの…?」
今の今まで本気でユウキのせいだと思っていたんだろう。
一気に不安そうな顔になって、(なぜか)俺に聞いた。
『どうしましたマヒロさん?』
そういえばさっきからいたはずの授業の先生が、近寄ってきて真裕に聞いた。
『あ…いえあの…』
…同じ説明を今度はドイツ語でした真裕。
『あなたは確かに置いたのね?』
ぶんぶんぶんっと勢いよく頭を上下に振る。
置いたのは確かだ。俺も見た。
「うううっ。またあとでね?」とかって頬ずりまでしてたのも。
そして。
…気のせいだろうか。
今……デジャヴのようなものが体中を駆け巡っている。
似たようなことが前にも。
…前にも何度か……。