秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
あいつはいつも、驚くくらいに思い切ったことをするし。
それこそいきなり「これから日本に行く」とかも、例えその術があってもそう簡単に“これから”というのは無茶だろう。
そして言ったことは必ずやってのける。
やはり強い。
そして。
父親にあんまりに似すぎだと思うんだが。
父のほうは、しなくていいことを宣言して、宣言するだけでいいものを実行する。
そのうちあれもああなるんじゃないかと思うと…。
これから先どう付き合っていこうかとさえ思ってしまう。
まあ……それはそれでいいんじゃないかとも、思ってはいるけれど…。
「かっくん見て見て、取れたよ!」
「ん? ああ…ホントだ」
自分で落書きを消せたのが嬉しかったんだろう。
きゃっきゃとはしゃぎながら報告してきた。
なにこの…幼稚園児みたいな可愛さ。
「一緒にやろう~♪」
「え"」
ぱしっと俺の左手を握ると、例によってくるくる回りながらメイリーもといバケツのもとへ。
無造作に投げ置いてあった一枚の布を手にすると、「はい」と笑顔で渡された。
「まーこの際ほっとこう。楽しいし」
「楽しいのか」
「楽しいの」
「……ヘンなやつだなやっぱり」
「んなっ!? …そ、そおいうかっくんだって、そのヘンなやつを愛してる❤んだから十分ヘンだよ」
愛して…ねえ……こともない…ような気もする…けど…。
「ヘンじゃねぇ」
これだけは確か。