秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
おろおろしているのはなぜかアッシュだった。
『日系がだいぶ入ってはいるけど、元々フランス人の家系なのよね』
『すごぉいメイリーどうして知ってるの?』
『…案外誰でも知ってるわよ』
『あれ…。そなの?』
きょとんと首を傾げて、なぜか振り返って俺に確認する真裕。
だからなんで俺に…と思ったけれど、まあ真裕ならいい。
あいつは、完全に俺に頼り切ってはいるものの、かと言って依存しているわけでもない。
いなきゃいやだの寝られないだの言う割には、たぶん意外となんでもできるんじゃないかと思う。
甘えたいだけなんだろうから、俺はいくらでも付き合ってやれる。
ここに来る前ふと修平が聞いてきたときにそう答えると、「お前もまあ…懐のでっかい男やなぁ…」としみじみと言われたが。
なに言ってんだバカ野郎。
あいつと付き合っていこうと思ったら、そのくらいのことできずにどうする。
これが普通じゃなきゃやっていけない。
俺は、それでいい、それがいいと思える。
だから互いにうまいことやっていけるんだろうよ。
相性というやつはつまりそういうことなんだと思う。
『今日はケインのところ、行けるわよね?』
『うんうん。行ける行け…………ない!! 行けないじゃんか今日!』
『あらなんで?』
ハッと何かに気が付いたようで、勢いよく立ちあがりながら叫ぶ。
あわあわするだけの真裕をとりあえず座らせた。
『ど、どうしよう。お仕事が…』
『仕事?』
…そういえばこいつ……。
もう仕事に関わってんだっけ…。