秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
坂本さんに促されて、かっくんと父様の二人のあとを追う。
ピンクの生地に蝶や花やがちりばめられた着物はとっても可愛いんだけど、やっぱりこれって歩きにくいよね。
てかなんか息苦しいってかなんてーか。
しかも髪の毛こんな風に結わうのって初めてかも。薄化粧も。
かっくんのやつは、特に目立った柄があるわけでもない…けれどなんだか輝いてるのはきっと本人だわ!
本人がキラキラときらびやかに輝いてるんだわ!
そして!
いつもの無造作な髪もいいけど、セットされてるのもすてきよ…!
もう!
愛してるっっ。
「さ、お嬢様はこちらに。星野様……あ、いえ…申し訳ございません。楓様はこちらにございます」
坂本さんが、ソファを指しながらそう言った。
かっくんはそれを、苦笑いで聞いていた。
そうかぁ…かっくんて星野じゃないのか。
……藤峰…楓…?
「……なんかいやだ」
なんっかいやだ! なんで?
いや、分かんないけどなぜかすんごーくぞわわわってする。
ヘンな感じー…。
「そりゃ俺の台詞だ」
「いや、だってさ」
―コッコッコッ…
「ん?」
…と、そこへ扉の向こうから靴音が数人分。
反射的に出入り口に顔を向けた。
「失礼いたします」