秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「おーまいがっっ!!」
「なんだケインか…」
ケイン…って誰だっけ。
…あ、先生の…。そだったそだった。
「で、ここどこ? あんた誰?」
「ハア……」
「?」
ていうかあたし、ウィーンにいるのよね。
なんで日本語の人がわんさかいるの?
「一通り忘れてんのかよ…」
「?」
「まあ落ち着いただけよしとしよう」
ぼそぼそと一人で呟くと、彼はとたんにドイツ語に切り替えて言った。
『はい、今のうちに自己紹介。いつスイッチ切れるか分からないぞ』
『はーいっ。大丈夫? ごめんねーびっくりさせちゃったのね。私リジュよ。スペインから来てるの』
『俺ー、アッシュ。会いたかったよハニ…うぐっ』
み、みぞおち…。
『ハァイマヒロ♪ハディって呼んでね』
はあ…。
あの……どなた様がたで…?
『あ、これはシュンよ。あなたと同じ日系だわ』
そおいえばあたしって“日系フランス人”であって“日本人”ではなかった。