秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
…とかなんとか言ってるんじゃなくてぇ。
ここはどこであなた方は誰っていうことを…。
『マヒロ、今日はレッスンはやめておこう。君が元気になるのを待つよ。そうだな……あと一、二週間ってところかな?』
『一、二週間?』
どっから出てきたんだろう。その数字は…。
なんて思いながらも、休めることにほっとした。
気を失うような形に近いとはいえ、眠ったのは何日ぶりだろう。
今ならいくらでも寝れる気がする。
『ね、あなた本当にあのマヒロ? 藤峰真裕よね?』
『たぶん…?』
あのってどのかよく分からないけど…。
『信じらんない…❤天才少女が目の前にいるなんて…』
『でも上流貴族の末裔に触れたら罰則があるんだろ?』
『ないよそんなの。ふっるいんだから』
『ないの!?』
ないったら。
やだなもう。みんなそう思ってるのね?
藤峰家(あたし達)からは一度もそんなこと言ったことないのに…。
『音楽界に生きてたってーのが、俺としては驚きだな』
シュンというらしい、黒髪の彼がそう言った。
それは、よく言われるけどね。
てかこの世にすら生きてないんじゃないかと言われてた時期もある。
失礼な!
『ほらほらみんな。そういうことはまた今度だ。彼女を帰してあげよう』
連れてきた張本人…ケインが、しれっとして偉そうに言う。