秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
思わず頭を抱えてため息をついていると、窓のほうからゴンッとなにやら痛そうな音がした。
「……」
見れば…。
「い"……い"だい…」
「ハア~……」
頭ぶつけてずるずる落ちていく父様だった。
仕方なく窓を開け、中に入るのを手伝った。
「父様っ。それもうやめたらって言ってるでしょ? いい加減死にたいの?」
「久しぶりに父に会ったというに、殺すだなんてまおや、私はお前をそんな子に育てた覚えはないっ」
「ひとっことも言ってません。落ちて死ぬわよって言ってるの」
あたし父様に会ったら確認したいことがあったのに。
なんかもう吹っ飛んじゃったじゃない。
『久しぶりだなぁヨウヘイ! 何年ぶりだ? 変わらないな』
『いやあケインこそ。しかしどんどんレオンに似ていくな』
レオン…というのは先生の名前。
レオン・スタッディーノ。
あんまり似合わないでしょ。あたしこれで何回笑ったことか…。
「父様…もう帰る…」
話し出すとこの二人は、近所のおばさん同士みたいに話が長くなるので、話し出す前に切りだした。
案の定、「そおだなそおだな。よしよし大丈夫かいまおや」とでれでれしながら言ってくれた。
分かりやすい人だ…ふっ。
『じゃあみんな。すまないが失礼するよ』
そう言って、父様はあたしを抱えてなぜかまた窓から出た。