秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「左様で…」
苦笑いをしながらそう言って、コトンとお皿を目の前に置いた。
「…? なにこのしろいの」
「はい。日本におります母に聞いたところ、風邪をひいたときは“おかゆ”なるものが一番だと」
お…かゆ?
え…今まで風邪ひいたときそんなものでたっけ?
初めて見る得体の知れないものに、恐る恐るスプーンをつけてみた。
「はむっ。……あつ」
とりあえずあつっ。
しかもやわかい。
とろとろしててやわかい。
「なんだか離乳食のようですねぇ…」
ああ、そう! それそれ!
なんかそれっぽいよねー。
「でも意外といけるね」
うんうん。さすが坂本さん。
シェフに負けないくらいの腕を持ってるだけあるよ。
「やっぱり坂本さんがいてくれてよかったな~」
「えっ…❤」
「ウィーンに来てからこっち、落ち着けるときがなかったんだぁ…。でも坂本さんといるとすごく安心できたの。ありがと」
スプーンを次々口に運びながら、視線は完全にお皿に行きながらも、気持ちは本当だからそう伝えた。
「お……おじょおさまっ……」
って……。
ええーーーーーっ。えーっ。
だああって泣いてるし。