秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*
「お断りします」
「はやッ!! 即答!? 一秒も考えてないよね!?」
考える必要もない。
そんなめんどくさいこと…誰がするか。
それに、真裕が帰ってくるのを待っててやらなきゃなんねーし。
そもそもめんどくさいし。
「めんどくさいって今の声に出てたよ星野くんや」
「……」
「そうか…残念だな」
明らかに気落ちした様子で、ハア~…と長いため息をこぼす外国人の男。
まるでどっかの誰かさんみたいに、人差し指でやたら高級そうなソファを刺していた。
「“彼女”とさらに君が来てくれれば、ウチも安泰かと思ったのになぁ…」
「彼女…?」
何気なしに聞き返してしまうと。
「えっっ! 興味持ってくれた?」
がばっと頭を上げて嬉しそうに言われる。
「いや…別に…」
「ウチねー、一昔前までは確かに、ここ宝院と並び称されるほどの力はあったんだよ。でも最近質が落ちてきてねぇ…」
「はあ…」
ぶっちゃけ興味ないんだが。
…このときそう言わず、流されるままに聞いておいてよかったと本当に思う。
おかげで……。