出逢い
休日で沢山の人達が行き交う街中を足早に歩いていく。
(また、怒られる。)
待ち合わせ相手が苛々しながら待っている姿を思い浮かべながら歩く速度はだんだん上がっていく。
遅刻癖がなかなか直らない私は、よく友人に怒られる。
今日、待ち合わせをしている相手も10年以上の付き合いになる友人だ。
いつのまにか小走りになっていて、
待ち合わせ場所である駅前にむかっている。
<カッカッカッ>
お気に入りの茶色いブーツのヒールを鳴らしながら人の間を通り抜けていく。
と目の端に何かが飛んでいくのがみえた。
思わず立ち止まってみてみると、
ヒラヒラと紙の束が気持ちよさそうに真っ青な空を泳いでいた。
「あっ…」
泳いでいる紙達を必死に手を伸ばして捕まえようとしている男性がいる。
真っ黒で寝ぐせかスタイリングなのか分からない髪型に古着っぽいジーンズ、白いシャツ、その上に紺色のカーディガンを羽織って、足元はスニーカーを履いたラフな感じの男性だ。
遠目からなので顔立ちはよく分からないが、だいたい私と一緒ぐらいの年齢だろう。