花咲く私


こんな時間に来客なんて
誰だろうと思いながら
カーテンの間から
外を覗き見た。


男の人……。


私の知り合いでも
なさそうだと思い
十分に体温で温まった
ベッドにもそもそと
再び潜った。



「花ーっ!
おりてきなさーい。」


母親が大声で呼んでいるが
知り合いじゃないにしても
お風呂上がりでパジャマに
着替えてしまっているので
人前に出るのも嫌だ。


よし、狸寝入りだ。



数十分たって
狸寝入りが成功したのに
ホッと息をついたときに
部屋のドアがノックされた。


「お母さんの声で
起きちゃっ……。」



目の前には私が想像した
見慣れた母親ではなく
先ほどの男の人が立っていた。


眼鏡をかけていないので
ボンヤリとしか見えないが
頭は金髪で身長が高い。



「花ーっ!!!」



固まっている私に
その男が抱きついてきた。

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