花咲く私
「ガガーン!
わ、忘れられてる!」
効果音を自らの口で
発しながらしおしおと
彼は崩れ落ちていく。
なんて表現力豊かな
人なんだろう、と
少し感心してしまったが、
今はそれどころではない。
とにかくパニック状態の
頭で目の前の人物が
知り合いじゃないのかと
脳みそ全域を探したが
思いあたる人はいなかった。
「俺だよ〜、椿だよ。
三浦椿(みうら・つばき)。」
三浦椿…。
椿……。
つばき。
確かに聞いたことのある
名前だが思い出せない。
眉毛をへの字にしていると
彼は再び口を開いた。
「花はずっと俺のこと
つーちゃんって呼んでたよ!
懐かしいなあ〜♪」
つーちゃん……。
え。
つーちゃん?!
いや、まさか。
「つーちゃんって
あのちっちゃくて
可愛かったつーちゃん!?」
私としたことが思わず
大きな声で叫んでしまった。