極甘王子はいかが?


パパとママは、転勤に付き合わせて転校させたいた揚句に海外に長期出張。

半年は帰ってこれないらしい。

そして、私一人だと心配だから、と言ってお姉ちゃんに私を押しつけたカタチ。



…ふざけてる。

あんなに慌ただしく転校の準備をしなくてよかったんじゃない。

そもそも、転校しなくてよかったんじゃない。

仲の良かった友達と離れなくてよかったんじゃない…っ!

人見知りの激しい私が友達をつくるのに、どれだけ苦労したことか…っ!!



「ぴよちゃんおはよ。

…どしたの、なんか空気がギスギスしてない?」



リビングに辿り着いて、私を"ぴよちゃん"と呼ぶこの男性。

藤堂壱臣(トウドウ イチオミ)さん、19才。

お姉ちゃんの恐ろしいまでの不器用を寛容に受け止めた、お姉ちゃんのダーリン。







そう、あの能天気おばか両親は、あろうことか同棲中のお姉ちゃんに私を預けたのである。







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