極甘王子はいかが?
逃走、子うさぎ!
しばらく走って、心臓が悲鳴を上げ始めた。
私、長距離って向かないんだよ…っていうか、運動全般がね。
足手まといになってることは重々承知だったので、追いかけて走るのは諦めて、自分から離れた。
必死に走ってる二人は気付かずに走り続けて、とうとう角で曲がって見えなくなった。
「ひとりぼっちだぁ…」
ついさっきまで、これでいいんだって思ってたのに。
一人になった途端に不安に押しつぶされそうになる。
知らない土地でひとりぼっち…。
しかも、追われてる身。
なんか、周りは薄暗いし。
とりあえず、近くにあった準備室みたいな所に入ってみるけど、薄暗くて空気が埃っぽい。
ジメジメしてるっていうのかな。
なんかお化けが出そう。
「やっぱり一人になんか、なるんじゃなかったよぉ」
早くも後悔。
気を紛らわせようとして携帯を見るが、お兄ちゃんからの"お姉ちゃんの寝顔写メ"が来てただけだった。