極甘王子はいかが?
「ちぃ~~~っ!!
王子もっ!
どうしたのよ、いきなり」
「あれ、那智…どした?」
返事をしようとした大宮くんを遮って、二人が到着した。
能天気な二人の空気で、緊迫した空気とはおさらばしたけど…私はまだ、彼の返事を聞けてない。
「悪いけど…。
僕、今日はもう帰るから、柏木の事お願い」
大宮くんの弱弱しい声に二人も驚いて、笑うどころじゃないと察したらしい。
「え、でも王子、今日入学スピーチとかやるんじゃ?」
「那智。何があったんだ?」
「…なんでもないよ。
隼人、スピーチ頼める?」
「那智!」
「一応原稿は渡しておくから、気が向いたらやってね」
ハイ、と隼人くんに渡された原稿。
それをバッと叩き落とすと、隼人くんは彼を睨み据える。
「どういうことか、説明しろ」