極甘王子はいかが?



車を降りると、噴水をとり囲んでいる鬱蒼とした木々。

…お家が見えませんがっ?!


「ここから結構歩くから、覚悟しとけよ?」


お家に噴水があるってスゴイと思う。

それから十数分の後、辿り着いたのは宮殿。

うん、まさに宮殿だよ…。


「いらっしゃいませ、伊織様、柏木様」


バタンッとお家のドアを開けるとメイドさんたちが並んでいた、なんてことはなくて。

20代前半くらいのお兄さんが立っていた。

執事さんかなぁ。


「お邪魔するよ。那智は部屋にいる?」

「はい。」

「ありがとう」

と言ってスタスタと歩き始める伊織に戸惑いつつも挨拶だけして通り過ぎる。

「あ、お邪魔しますっ」


………。


「なんで待ってくれないの…っ!!」


歩くの早すぎなんですけどっ!

必死に足を動かす私が馬鹿みたいじゃないか!!


「お前が歩くのが遅いんだよ」


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