らぶ★ちゅー
知穂×悠星
いつも走っている道が、こんなに輝いて見えるのはなんでだろう。
なんて、その答えはとっくに分かってるんだけど。
「・・・千葉悠星が帰ってくるから」
ひとりでつぶやいて、ファイナルアンサー。
遠くから風に乗ってやってくる桜の花びらがあたしの頬をなでた。
山を覆い尽くすピンク色の桜が目に優しい。
あたり一面を田んぼで囲まれた、この素晴らしきド田舎。
あたしはここで、今日という日を今か今かと待っていた。
いつもより気合を入れて巻いた髪の毛が風に揺れる。
小鳥のさえずりを聞きながら、あたしはある場所へと歩いていた。
「・・・てか、昨日見たばっかだけど」
着いた場所はあたしの彼氏である千葉くんの家の前。
今日、彼はここに帰ってくる。
1年にもわたる遠恋にやっと終止符が打てるんだ。
毎日千葉くんと会える。
話せる。
触れ合える。
そう思うと自然に頬が緩んだ。
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