らぶ★ちゅー


「千葉くんが呼ばないなら、あたしも呼ばな~い」


つい顔がにやける。


目の前で頭と抱える千葉くんが、なんだかかわいく見えてきた。


すると、不意に千葉くんが顔を上げた。


「・・・呼んでやるよ、名前くらい」


まっすぐにあたしを見つめる瞳に、心臓がばくばくと音をたてる。


その瞳が、あたしをとらえて離さない。


ゆっくりと千葉くんの顔が近づいてきた。


「・・・え、なに・・・?」


あたしは反射的に後ろにさがった。


・・・・・・いや、さがろうとした。


木に寄りかかっていたのを忘れてた。


後ろには大きな木の幹。


目の前には千葉くんが迫っていた。


この漫画的シチュエーションも嫌いじゃないけど、無駄にドキドキさせられる。


「・・・俺が呼んだら、お前も呼べよ?」


「・・・っん・・・」


千葉くんの息が耳元にかかる。


「そんな約束してないし・・・」


「拒否権なんかねぇから」


そんな風に甘く低い声で囁かれたら、なにも言えないじゃんっ・・・。


そしてそのことは、千葉くんが誰よりもよく知っている。


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