君へ。
ある日の昼休憩。
ゆうちゃんと食堂でお弁当を広げ食べる。


「こころー、あんたの所どう?」

お弁当に箸をつつきながら話すゆうちゃん。
今ゆうちゃんの左手薬指にはキラリと光るシルバーリング。

どうしたん?って聞いたら彼氏が'男避けに!'って買ってくれたらしぃ。
意味分からんと言いながらも嬉しそうなゆうちゃん。
同時に熱い視線を送る社員の皆さんの指輪を見た瞬間の落胆の顔。

ちょっと面白いからいいんやけど、アタシが気になるのは……幸田クン。指輪には気付いてるっぽいけど、落ち込んだ様子はない。
本気じゃなかったんか?
うーん…………




「おーい!聞いてるん!?」


『はっ!ごめん!!ぼーっとしてたぁ』


と、言って笑ってごまかした。
もぉーっと言ってまた仕事の話をするゆうちゃん。
アタシも話にのり、お弁当を食べ始めた。


お弁当も食べ終わりくつろいでいると、ふとある事を思い出す。



ゆうちゃんなら的確な判断をしてくれそう…。
言ってみようかなー。



『ゆうちゃん』

んー?と、食堂に設置してあるテレビの'いいとも'を見ながら返すゆうちゃん。


『あんねー、アタシ最近お腹の奥がぎゅってなって、心臓どっくんどっくんなりだすんやけど…やっぱ救心買った方がいいんかなー』



タシは首を傾げながら、でも高いんよねーと続ける。
< 19 / 216 >

この作品をシェア

pagetop