君へ。

届け

ガラガラガラ。



ゆっくり病室の引き戸を開ける。


開けた瞬間、窓が開いてるのか気持ちいい風邪がアタシを出迎えた。



ベットの方に顔を向けるとそこには逆光でよく見えないけど、枕を背に腰掛けた木田クンの笑顔が微かに見えた。


窓からの風に寝癖がついた髪を揺らして、片手を上げてニカッと笑って…



「よぉ!」


『よ…よぉ』

アタシも真似してみた。



「今日は一人なんだなぁ」


『うん。池内サンとゆうちゃんもだったんだけど、仕事入ったみたいで。コレ、池内サンから』


アタシは池内サンから預かっていた袋を渡した。



「サンキュー!なんだこれ」


木田クンは受け取るとすぐに開けだした。――が、中身を見た瞬間おもいっきり袋の口を縛った。



『…何、どうしたん?』


若干頬を染めている木田クン。



何だったんだ?なんか本みたいやったけど……まさか、



『え…エロ本?(笑)』


「なっ!!ちげーよ!!!」


木田クンは大声で否定してからそれをすぐに引き出しにしまった。



気になる……。
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