君へ。
皆はすでに花火を大量に買い込んでいた。


…そんなにするのか?
って思うくらい袋に沢山詰め込んでいる。



『どこでするんですか?』
アタシは池内サンに聞いた。


「あぁ、近くの小学校」


「えっ!いいんですか!?学校なんて」
ののが振り返りビックリした様子で返した。


「大丈夫大丈夫!こんな夜中に誰もおらんやろ!」

まぁ、確かに誰もおらんやろうけど…。いいんかなー(笑)


皆少し不安に思いながらもどこか浮足立っている。
夜の学校ってテンション上がるしなぁ(笑)


ぞろぞろと歩いていくと学校が見えて来た。
もちろん真っ暗で静まり返っている。


……なんか…出そう。

昼間は子供達の声で賑やかだけど、今は重く真っ暗にそびえ立つ建物だ。不気味で仕方ない。

アタシはぼーっとその巨大な建物を見上げていた。


「怖い?」

急に話し掛けられたせいで少し身を固めてしまったアタシは振り返る。そこにいたのは笑顔の木田クンが立っていた。


アタシはビックリしながらも返す。


『こ…わくはない』
6割方嘘だけど咄嗟に出て来た言葉。
こんな時女の子らしく素直に言えたらいいんだけど。

そう思いながら少し顔をそむけた。可愛くないアタシは見られたくない。


そんなアタシに木田クンは笑う。
「怖いくせにー(笑)意地はんなって!」
と、肘で突いて来た。

『意地はってない!(笑)』

しばらくの間そんなやり取りが続いた。
こんな事でも凄い幸せに思う。
笑い合えたこの時間はアタシの一生の宝物だ。
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