君へ。
「おっしゃ!皆始めんぞー」


ちょっと離れた所に小さな明かりが見えた。
暗闇に光るロウソクの火。


アタシと木田クンは皆の元へ行き花火を物色しまくる。

あれがいいこれがいいなんて言いながら次々に火をつけて花火を楽しんだ。


………綺麗だなぁ。


花火を眺めながらしみじみ思う。
赤、黄色、緑、青、白。

色とりどりの火花が散ってゆく。

ふと周りを見渡した。
キャッキャ言いながらゆうちゃんもののも楽しそうだ。
小林サンも池内サンも早瀬サンも幸田クンも木田クンも。

打ち上げ花火やロケット花火を見て歓喜をあげている。

花火の明かりで照らされる皆の笑顔に自然と自分も笑顔になれた。


あんなに大量にあった花火も皆の手にかかればあっという間に終わってしまった。

……絶対残ると思った。



「じゃあ日本の花火を締めくくるのにふさわしい線香花火〜!」

小林サンが缶ビール片手に線香花火を高々に上げた。


この人まだ飲んでたのか。いつの間に買ったんだよ(笑)



皆に線香花火を渡していく。

「競争しようや!」
なんて誰かが言うもんだから皆真剣になる。


パチパチといろんなパターンの散り方でアタシたちを楽しめる線香花火。

今までの華やかな花火と違って静かにはかなく散ってゆく。


いつの間にかアタシの線香花火は火を落としてしまい、輝きを失ってしまっていた。


結局最後まで残ったのは早瀬サン。
意外な才能だ、と口々に皆言っていた。
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