君へ。
突然藤本サンはアタシの手を掴んだ。

アタシは突然のことでびっくりして藤本サンを見る。
何か…必死な表情の藤本サン。


『…どうしたんですか?』
心配になり藤本サンの顔を覗き込む。藤本サンはハッとした表情で慌ててアタシの腕を離した。


「ごめん!あー…また明日!」

藤本サンは引きつった笑顔で手をふる。

『…?。…ハイ!また明日』
アタシも手を振り藤本サンは走り去っていった。


……何だ?今の。


アタシは意味がわからないまま自分の車に乗り帰った。

アタシはその夜今日のことを振り返っていた。

ちょっとでも藤本サンにドキっとしてしまった自分。
一日中木田クンのことを考えているようなアタシが、今日は明らかに藤本サンの事を考えている。


頭では否定していても目で藤本サンを追っているアタシがいて、同時に木田クンの事も気になっている自分がいる。


考えてみれば、アタシはホントに最低な人間だ。
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