君へ。

一通りｱﾀｼの話を聞いてくれた藤本ｻﾝ。


『…まぁ、彼女でもないのに図々しい話ですけど』


少しの間黙り込んでいる藤本ｻﾝ。心配になりｱﾀｼは顔を覗き込んでみた。


『藤本ｻﾝ？』


｢…うーん。まぁ、贅沢っちゃあ贅沢な悩みやな｣

藤本ｻﾝは腕を組みながら話す。


『ですよねー』
ｱﾀｼはやっぱりそうだよなーと思いながら足元を見た。


｢だって、世の中にはもっと辛い恋してる人おるよ。例えば全く会えないし、メールも出来ない。その人に彼女がいたり、その人に…好きな人がいたり｣

そう言って藤本ｻﾝは真剣な表情でｱﾀｼの顔を見た。


『…っ』

何だろう…。藤本ｻﾝの言葉に凄く重みを感じた。


ｱﾀｼは真剣な表情の藤本ｻﾝに目を奪われ少しの間呆然としてしまった。


｢あっ…ごめん！言いすぎやんな｣

藤本ｻﾝは慌てた様子ですぐに謝って来た。



『あっ、いえ全くその通りなんで！』

ｱﾀｼも慌てて返す。



贅沢……なんや。
うん、だって前までは全くメールなんてしてなかったし奇跡的に休憩の時会ったりしなかったら全然顔あわせない日が続いたり。



でも今はメールしてる事によって木田ｸﾝのいろんなとこ知れたもん。