君へ。
アタシは無意識に涙が出ていた事に気がついた。慌ててぬぐうけど次々流れて間に合わない。



それを藤本サンは黙って見つめていた。



『すっ!すいません!!なんか…あらためて自分の気持ち分かったってゆうか……アハハ…もう、止まんない』


アタシは笑ってごまかす。



「…いいよ。思う存分泣きな。したら、泣き止んだ時梅田サンは……大きな一歩踏み出してるよ」




大きな一歩……。


そうだ。アタシは立ち止まってたんだ。前に立ちはだかる二つの道に。
一方は楽な下り坂。もう一方は困難な上り坂。
アタシは藤本サンってゆう楽な下り坂に……甘えて、楽して、下り坂に行こうとしてたんだな。



でもそれじゃあ今までと一緒なんや。変わらないままだったんや。

でも今の藤本サンの言葉でハッキリした。
アタシは今成長する瞬間を逃そうとしてる。

チャンスをあだにしようとしてる。


皆の……せっかくの力をアタシは捨てようとしてた。




それじゃあ駄目なんや。
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