ディアパゾン−世界に響く神の歌−
誰かがアナの目の前にいた。
しかし目が眩むほどの光に包まれて、その姿は曖昧だ。
アナは顔形をなんとか認めようと目をしばたかせながらも、なんと透き通るようにきれいな声なんだろうと思った。
その人――彼女は初めて見た顔だと思うのに、見ているうちにアナはひどく懐かしいような、切ないような気持ちが込み上げできて、思わず怪我していたほうの手を差し伸ばしていた。
すると彼女はアナと額を合わせようとするかのように傍に近づいてくる。
『世界を…助けて』
少しだけ顔が鮮明に見えたと思った。彼女の長い髪がアナの頬をくすぐる感触までした。
アナは深く息を吸い込んだ。砂っぽく冷たい空気が鼻腔を通り抜けて、アナは目を開く。
そこにはムイの岩肌と空、それしかなかった。
いつも通りの景色を呆然と見つめながら、いつの間に目を閉じていたのだろうと思いだそうとした。
記憶も時間の感覚も定かではないが、今見たものだけは鮮明に焼きついていた…。
しかし目が眩むほどの光に包まれて、その姿は曖昧だ。
アナは顔形をなんとか認めようと目をしばたかせながらも、なんと透き通るようにきれいな声なんだろうと思った。
その人――彼女は初めて見た顔だと思うのに、見ているうちにアナはひどく懐かしいような、切ないような気持ちが込み上げできて、思わず怪我していたほうの手を差し伸ばしていた。
すると彼女はアナと額を合わせようとするかのように傍に近づいてくる。
『世界を…助けて』
少しだけ顔が鮮明に見えたと思った。彼女の長い髪がアナの頬をくすぐる感触までした。
アナは深く息を吸い込んだ。砂っぽく冷たい空気が鼻腔を通り抜けて、アナは目を開く。
そこにはムイの岩肌と空、それしかなかった。
いつも通りの景色を呆然と見つめながら、いつの間に目を閉じていたのだろうと思いだそうとした。
記憶も時間の感覚も定かではないが、今見たものだけは鮮明に焼きついていた…。