ディアパゾン−世界に響く神の歌−
ウーダンが話していたこと。
『神様の落とし物』と言うのは、あのムイで見つけた欠片なのではないだろうか。
あんな…美しく透けながら輝く物があるなんて見たことも聞いたこともないし、現代の科学で可能であるかすら…世間知らずのアナでさえ疑ってしまう。
それこそ貴族の落とし物と言うより、神のそれであるというほうが納得がいくではないか。
それに、
あの不思議な声…。
アナはそっと唇をむすんで、かすかに震える手で、盆にのせたお茶を運んだ。
「叔父さん。あたし今日ムイの近くで不思議なものを拾ったの」
アナが湯呑みを机に置くのを見た後、叔父の視線は不自然なほどゆっくりと腕を伝い、アナの深刻な顔でぴたりと止まった。
「明日、ウーダンさんと何か探しに行くんだよね?
もしかしたら関係があるんじゃないかと思って」
アナはそっとポケットから欠片を取り出して叔父に見せた。
「これ。
ちょっと夢見たいな話なんだけど、これを拾った時に、あたし女の人を見たの。
綺麗な人。
──そうだ。
見つけてって言ってた。歌がどうとか、波が広がるとか、なんかそんな感じのこと。
これってウーダンさんが言ってた新しい神様と関係あるんじゃない?」
話せば話すほどつじつまが合っていくような気がして、興奮していくアナとは対照的に、叔父はどんどん険しい顔になっていった。
アナはそれに気付かず、早くウーダンに見せてあげたほうがいいんじゃないかと声を上ずらせた。
「駄目だっ」
叔父の鋭い声に、アナはびくりと身体をすくませた。
寡黙な叔父が大きな声を出すことなど、めったにない。
「ど、どうして?あの人父さんと叔父さんの友達でしょう?
皇弟のダリル様がお探しになっているものだって…」
叔父が激昂した意味がわからず、アナは確かめるように叔父に尋ねた。
「あいつが悪いやつじゃないことは知ってる。
ウーダンはきっと、本当に何も知らないんだ」
『神様の落とし物』と言うのは、あのムイで見つけた欠片なのではないだろうか。
あんな…美しく透けながら輝く物があるなんて見たことも聞いたこともないし、現代の科学で可能であるかすら…世間知らずのアナでさえ疑ってしまう。
それこそ貴族の落とし物と言うより、神のそれであるというほうが納得がいくではないか。
それに、
あの不思議な声…。
アナはそっと唇をむすんで、かすかに震える手で、盆にのせたお茶を運んだ。
「叔父さん。あたし今日ムイの近くで不思議なものを拾ったの」
アナが湯呑みを机に置くのを見た後、叔父の視線は不自然なほどゆっくりと腕を伝い、アナの深刻な顔でぴたりと止まった。
「明日、ウーダンさんと何か探しに行くんだよね?
もしかしたら関係があるんじゃないかと思って」
アナはそっとポケットから欠片を取り出して叔父に見せた。
「これ。
ちょっと夢見たいな話なんだけど、これを拾った時に、あたし女の人を見たの。
綺麗な人。
──そうだ。
見つけてって言ってた。歌がどうとか、波が広がるとか、なんかそんな感じのこと。
これってウーダンさんが言ってた新しい神様と関係あるんじゃない?」
話せば話すほどつじつまが合っていくような気がして、興奮していくアナとは対照的に、叔父はどんどん険しい顔になっていった。
アナはそれに気付かず、早くウーダンに見せてあげたほうがいいんじゃないかと声を上ずらせた。
「駄目だっ」
叔父の鋭い声に、アナはびくりと身体をすくませた。
寡黙な叔父が大きな声を出すことなど、めったにない。
「ど、どうして?あの人父さんと叔父さんの友達でしょう?
皇弟のダリル様がお探しになっているものだって…」
叔父が激昂した意味がわからず、アナは確かめるように叔父に尋ねた。
「あいつが悪いやつじゃないことは知ってる。
ウーダンはきっと、本当に何も知らないんだ」